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第788号(2017年2月14日付)

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発表中、の律さん・・・(は見えませんねぇ。それもその筈、律さんは右手後方の調整室から発表し ています。普通の生徒さんはスライドの向かって右手に登壇して、スライドを指し示しながらマイクを使ってするのですが、律さんは視聴覚の過敏があって沢山 の人の中(この場合は、前か)にいることができませんので先生方がご配慮してくださったのです。使っているスライドも視覚過敏に対応して白黒だし、部屋も コントラストを減らすため室内も明るくしたままです。つまり、随分変わった発表形態だったんですよぉ〜・・・なんてことは一目瞭然でしたね !?)

では、また来週。

Hikalli 



INFORMATION

律さんの顔を見るサイト、週間希 望「夏風通信」。原則的に火曜日アップデートを目指しています。これからもどうぞ よろし く成長を見守ってやって下さい。
80号から写真も最新ショットから選ぶことにしました。

◎ 律さんは2008年に『アスペルガー症候群&書字障害』児として診断を受けています。その 他、診断ではありませんが『全感覚過敏(あるいは身体感覚不全)&睡眠 障害』 があ るので日々山あり谷あり。2015年、市立中学校支援級をとりあえず卒業し、配慮申請を受けてくれた県立高校理数科に合格いたしました。現在、週に2日は 午前から、3日は午後か ら登校の体制です。

● 最新の律君のボディは・・・ 身長 172cm (前回比 -1cm) 学校の身体計測で計ったんです・・・。

                体重 78.0kg (前回比 +8.0kg)
                服のサイズ メ ンズL〜XLサイズ(ズボンは32〜34インチ
                靴のサイズ 28セ ン チ
                頭のサイズ 61セン チ

(4月12日、身長体重更新)

● 2月も半ば、天候の急変が多かったですね。自律神経が弱い律さんは気圧が急に変わると体調を整えるのが難しくなるので すが、その上、スケジュール的に大忙しの週となっておりました。まぁよく乗り切れた、エライ!って感じです。では、早速どこがどのようにエライのか、お伝 えしていきましょう。
 月曜も突然お天気雨が降ってきたりしてましたね。ちょうど律さんがお昼を食べに来ている時だったので午後からの体育でサッカーができるか心配しながらの お弁当タイムとなりました。そんなにサッカーしたいのかー、と思って聞いていると「なによりやる事になっているサッカーをやれないのが嫌。もちろんサッ カーが好きだっていうのもあるけど」って。おやおや、こだわりの方が強かったのか・・・これは律さんの精神的な雲行きの方を心配しないといけないかな?で も何はともあれ、そこは晴れ男の律さんですからね、お弁当を食べ終わる頃には雨もあがっていました。おかげでミニゲームを4回もしてゴールも決めたんで すって。下校してきた時にそう聞いたので、すごいね〜と言うと「でも、それまで何回もポカをやってるからね。それを考えると」と浮かない顔でした。どこま でも自己評価に厳しい奴ですな。
 そんな風にちょっと暗めに帰ってきた律さんを家に置いて、母ったまはムスメ業のためすぐに出かけてしまいました。じぃじの通院があったので、じぃじを病 院に送り、診察に付き添い、痛み止めの注射を受けてもらっている間トンボ帰りしてリハビリから帰るクニコさんを迎え、お茶の支度。いつもよりもだいぶ遅め になってしまいましたが律さんも交えてお茶をして、夕食のメニューや段取りを決めたらまた病院へ。と、こんな風にムスメ業が忙しくなると執事の業務がおろ そかになってしまうため、御主人様には申し訳なく思うものの致し方ない時もあるのです。すまんね〜。
 さて、火曜日は短縮60分授業。来週には受験があるので学校は準備があって在校生は早めに帰るようになるのです。律さんは普段、午後の生物だけ出ている 火曜日ですが授業時間が短いため、生物も午前の最後の授業になってしまいます。でも、そんなことは知らぬ先月の母ったまさんは「午後イチの時間ならば律さ んは授業中だからフリーだ」と相談センターの面談を入れてしまっていたのでした。そして更に間の悪い事に、その予定を昼前までスッカラカンと忘れていたも ので、律さんをバス停に送って行った時には「じゃあお昼ご飯はスパゲッティアマトリチャーナね」なんて予告しちゃっていたのです。うわわわ〜、これは律さ んの大の苦手な“急な予定の変更”ではないですか⁉︎本当にゴメン‼︎と平謝りする母ったまに律さんは落ち着いて「いいよ。じゃあお昼はどうする?」と すっかり切り替えたかのような対応・・・ちょっと出来過ぎなくらいですが、この際それに乗らせていただくしかない母ったまとしては「冷凍自家製ミートソー スを使ったショートパスタ」を提案しましたが、その場合は母ったまが準備したものを使って自作してもらわなければなりません。私としてはクニコさんもお手 伝いしてくれると思うから、と言うしかなかったのですが・・・。
 はてさて面談を終えて帰宅すると律さんは全くいつもの通り、ベッドに寝っ転がって遊んでいました。パスタも美味しくできてようだし、経験値も上がって良 かったね、と・・・終って良かった・・・んですよね・・・。
 実は、母ったまはこの日の午後もムスメ業が大忙し。まずじぃじ&クニコさんを連れて車で歯医者さんへ。帰りはじぃじだけを乗せて帰宅。クニコさんは歯医 者とウチの間にある内科医院に置いてきたのです。ちょこっと家事をやっているうちにクニコさんから電話があり、お迎えに。こうして4人揃って落ち着いてお 茶の時間になったのは普段の1時間近く後のことでした。律さんは理解を示してくれてはいましたが、ストレスになっていない訳はないですよね〜?
 と、そんな調子で迎えた水曜。いつも通り午前中の物理の授業に出席すべく頑張って起きたものの体がイマイチついてきてくれなくて「車で、お願いします」 に。でも、学校が近づくにつれ元気になってきたようだったので、母ったまさんは帰宅するや否やサンドイッチ作りと家事に勤しんでおりました。そしてお昼休 みの時間。いつものように公園のお駐車場まで駆けつけ、ランチの準備をして待っていますと、律さんがやって来ました。ヨタヨタと⁉︎車のドアを開けるなり ドサッと倒れこむようにして座席に座り「あー調子悪い」って。顔を見るとほっぺただけ赤く、うっすら汗をかいているようでした。汗を拭いてやると体温が下 がっているのがわかりました。自律神経が調子を落としているんですね。「聴覚と視覚の過敏。触覚もおかしい。手が変な感じする」と呻きながら教えてくれま した。「途中で担任の先生に会ったから、午後の授業は無理かも、って言っておいた」と絞り出すように言っているのを聞きながら母ったまさんは次に打つべき 手と原因を探っておりました。もちろん落ち着いている風で、ですよ。
 母ったまさんのカンピュータによれば触覚の不調と自律神経の失調は約半日後の大きな天候の崩れが原因です。そういえば天気予報でもポカポカ陽気はこの日 迄で、明日から一気に天気が悪くなると言っていました。聴覚と視覚の過敏は何か“引き金”があるものなので今後、それを回避するように動けばゆっくりと回 復に向かう筈。物理の実験で何かあった?「そういえば赤色の光を観察した」律さんはどうも赤系の光が苦手なところがありましたから、きっとそれでしょう。 実験は終ったのだからストレッサーはなくなったと考えて良さそうです。
 その頃には律さんも落ち着いてサンドイッチを食べ出していましたから、次は再登校の目処ですが、午後イチの授業は個別対応可の英語です。これをクールダ ウンに使っている教室でしてもらえれば出席&休養&脳みその運動の一石三鳥!と思っていたら担任の先生から電話がありました。先生も同じことを考えていて くれたらしく、話はトントンと進み律さんの午後の授業内容は決まりました。午後の2つ目の授業は生物の実験でしたが、こちらも実験セットを廊下に出してく れるなどの対応をとっていただけて無事、律さんはこの日予定していた授業全てに出席することができました。先生達に感謝です!
 木曜は研究発表会。理数科の2年生全員が1年間、じっくり研究した成果を発表する日です。1・2年生が一堂に集まって発表者がパワーポイントで作ったス ライドを指し示しながら研究内容を説明するのに真剣に聴き入ります。なんで“真剣”かといえば、発表の全てにコメントをつけて提出せねばならないからなの です〜。朝9時から夕方の4時半過ぎまで続く発表会。なかなか大変そうですが楽しそうでもありました。
 母ったまさんは担任の先生からお誘いを受けたこともあり、午後の発表に間に合うよう律さんを送り届けてから会場の、1年生の後ろ『保護者席』に陣取りま した。律さんは午後イチの発表。来賓席に紛れ込んだ療育の先生からの情報によれば「午後最初の発表生徒には障害があるため・・・(略)のような形で発表さ せます」と学校からの説明があり、律さんも発表を始める前に「諸事情により後ろから発表させていただきます」と一言ことわりを入れさせてもらっていまし た。療育の先生は「これが『配慮』なんだ!と感動しました」と言っていらっしゃいましたが、私も賛成。難しいことはやめる・やめさせるではなく、きちんと 然るべき説明をして、無理をしない中で、できる限りの形でやる・やらせてもらう、のが正しい配慮かなぁと。
 さて前置きが長くなりましたが、発表の様子は上の写真を見ていただくとして(笑)律さんは持ち時間ぴったりで、説明する声もはっきりとして聞きやすく読 み間違えもほとんどありませんでした。私は初めて見させていただいたので後に続く生徒さんの発表を見るまで知りませんでしたが、大体の発表者はあがってし まってトチったり早口になったり読み間違えたりするものらしいです。また、少なくとも午後の発表者全員が時間オーバーを知らせるベルを鳴らされていました ので、律さんは発表者としてなかなか優秀だったんじゃないでしょうか。読者の皆さん、安心してください。
 ただ、律さんの流麗な発表が終わった後、私の前の1年生達は一斉にがっくり肩を落としていました。そして、あちこちから「どうする?」「わかった?」 「わっかんねぇ」と囁き声が・・・。律さんの発表は『オイラーの公式の導出と応用』というもので、少なくとも微分がバッチリ理解できていないと判らないも のらしいです。もちろん母ったまさんは判りませんが、1年生もまだ微分を習っていないので「わっかんねぇ」だったんですね。という訳で内容についてはサッ パリ理解できない母ったまさんでしたが、近くに座って律さんの発表を聞いていたM先生が「いやぁ〜前回(中間発表)よりも格段に良くなっていましたよ!」 と声をかけてきてくださって、少し価値がわかったような気がしました。ちなみにM先生は英語の先生ですが、趣味が数学?でオイラーのファンでもあられるの です!数学の専門ではなくても同好の士に褒められたんですから私も胸を張って「良かったね」と律さんに声をかけられるというものです。
 全ての発表を聞き終わり、先生方からの講評を聞く前に律さんと学校を出させててもらいました。もちろん下校する生徒さん達とタイミングをずらすためで す。校舎を出ると結構ちゃんとした雪が降っていました。これが水曜の不調のモトだったんだね、と言うと律さんも「振ってしまえば何でもないんだけどね」と 元気に答えてくれました。大きなイベントも終わったし、これで回復基調になれば文句ないんですけれど。
 金曜日はY新聞の取材がありました。授業は午後の数学だけだったので、記者さんはそこで写真を撮って行ったそうです。放課後、場所をウミネコ喫茶店に移 してインタビュー。テーマは「ICTの教育利用が障害生徒にどう波及しているか」というようなことだったのですが、話が始まると生育歴から検査内容、学校 の受けとめかたの違いなど(例によって)多岐に渡ってしまって結局2時間半にもなってしまいました。その間にドカドカ雪が降ってきて慌てましたよ。だっ て、私はインタビューの後スタジオ近くのお医者さんに行ってアレルギーのお薬を処方してもらわないといけなかったのですもの。インタビューの後、一旦ウチ に帰って律さんを下ろし、その足でスタジオの駐車場まで車を走らせました。いやぁ雪の中出歩くのは本当に疲れました。
 土曜日は祝日だったのですが、まぁもともと学校も会社もお休みの上、振替休日にもならないので何の意味もない(どころか土曜の午前中にやっている病院に も行けないからマイナス!)のでした。とはいえ例によって「いつも通り」ほど自閉っ子に意味深いものはないので、この日はここぞとばかりにいつも通りの週 末を過ごしました。
 日曜日は、そうもいかず!お昼を滅多に行かない喫茶店まで歩いて食べに行く羽目になりました。というのもお店に隣接する靴屋さんで母ったまさんが父に誕 生プレゼントを買ってもらうのです。律さんは、このところずっと体調不良に悩まされていたので、珍しいお店でランチをしたり母の買い物につき合わせられる のは勘弁してもらいたい!って感じだったんですね。父と(メールで)話し合いをしましたが結局、父に押し切られる形でランチの散歩に出てしまいました。お 天気も良いしお散歩には悪くないのですが、その先に不安がある律さんはちょっと暗め?でも、父上とゲームの話なんかをしているうちに到着してしまいまし た。喫茶店で初めて個室に案内されてびっくり、メニューを見て美味しそうなラインナップに安心して、やっと律さんの気持ちも落ち着いてきたようです。最初 は「とても買い物の時間なんか待っていられない」「一人でスタジオまで戻れない」と嫌々ないない状態だったのですが、ちょっと変わった美味しいお料理がお 腹に収まると「じゃあ靴屋の外で待っているから、一緒に帰ろう」と言い出しました。その言葉通り、お店の敷地内でゲームをしながら待っていてくれた律さ ん、帰り道は自分で苦手だったり危険だったりするポイントをチェックしながらも、好きなお店にも「(次の機会は)一人で行けるかも」と言えるくらい自信を つけたようです。ゆっくりだけど確実に自分で動けるようになれば、ね!

◯この週読み始めた本 :なし

律さんが書いた作文『僕の感覚過敏について』をブログという形でも公 開しています。
「みんなにもっと過敏君の世界を知って欲しい!」というわけでブログをちょっとずつ更新中!http://bokukan.tumblr.com/ にて

 昨年ま でを、季節区切りでまとめたバックナンバーもあります。こちらもど うぞ御利用下さ い。
● 律さんが小学生の頃、自分の障害について書いた作文、『僕の感覚過敏について(オリジナル)』は“わかってほしい、ぼくのこと”として
おかんの会』 のホームページに載っています。こちらも良ければ覗いてみてください。

「コメント欄が欲しい」とのご要望をうけましたが、無理そうなので取り敢 えず主筆メアドを掲載しておきます。頑張って書いてます母ったまさんに励ましのメール等は、こちら! hika@kang-poo.com 


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